２ 山城五十山の名称と位置
山城五十山の定義を前述のように、京都市内と他府県または市郡との境界上で測量のための三角点がある標高４００メートル以上の山とすると、これに該当する山はちょうど５０山あり、各々の名称と位置はつぎのとおりになっている。
名称欄で（点名）とあるのは通称の山名がないので国土地理院でつけられている点名を採用した。三角点欄の数字でⅠとあるのは一等三角点、Ⅱは二等三角点、Ⅲは三等三角点をあらわす。地図欄は国土地理院二万五千分一地形図の図名で東北、西北、東南、西南はそれぞれ京都何々部の略にしている。
順位 高さ（ｍ）名称 三角点 点名 位置 地図
１ ９７１．５ 皆子山 Ⅲ 葛川 花折峠の西 花脊
２ ９７０．０ 峰床山 Ⅱ 久多村（二）大悲山の西 花脊
３ ９５９．０ 三国岳 Ⅱ 久多村（一）京郡市最北 久多
４ ９５０．５ 鎌倉山 Ⅲ 鎌倉岳 滋賀、坊村の西 花脊
５ ９４７．６ 地蔵山 Ⅰ 地蔵山 愛宕山の裏 西北
６ ９３１．７ 小野村割岳 Ⅲ 広河原 広河原の北 久多
７ ９２４．９ 桑谷山 Ⅲ 長戸 大悲山の北 久多
８ ８９５．８ 桟敷ヶ岳 Ⅱ 桟敷岳 雲ケ畑の北 周山
９ ８９２．ｌ 市後谷山 Ⅲ 久多 久多の北 久多
ｌ０ ８９０．１ 愛宕山 Ⅲ 愛宕 清滝の北 西北
１１ ８７６．２ 滝谷山、別所山Ⅱ 別所村 花背別所の東 花脊
１２ ８５３．５ 深洞山 Ⅲ 奥ノ谷 久多峠の北 久多
１３ ８４８．３ 大比叡 Ⅰ 比叡山 京都市街の北東 東北
１４ ８３７．２ 天狗杉山 Ⅲ 三輪谷 花背新旧峠の間 大原
１５ ８１６．２ 魚谷山 Ⅲ 柳谷 雲ケ畑の北東 周山
１６ ８１２．６ 天ヶ森、ナッチョⅢ見谷 百井の東 大原
１７ ７９４．１ 水井山 Ⅲ 釈迦岳 比叡山北部 大原
１８ ７７９．１ 井ノ口山 Ⅲ 西丁子 花背原地の西 花脊
１９ ７６３．１ 湯槽山、片波山Ⅲ 大布施 大布施の北西 花脊
２０ ７１７．６ 焼杉山 Ⅲ 岩谷 大原の北西 大原
２１ ７１５．６ 知世路谷山、八桝山Ⅲ知世路谷 大悲山の南 花脊
２２ ６９９．８ 貴船山 Ⅱ 二ノ瀬 貴船の西 大原
２３ ６８８．３ 朝日峯 Ⅲ 梅畑 山城中川の西 周山
２４ ６８１．４ 梶山、童髯山 Ⅱ 大原村 大原の東 大原
２５ ６７８．９ ポンポン山 Ⅱ 加茂勢山 大阪との府境 西南
２６ ６７０．０ 半国高山 Ⅲ 小野 小野郷、真弓間 周山
２７ ６５４．０ 鷹ノ巣山 Ⅲ 滝谷 笠峠の南 周山
２８ ６４９．１ 岩屋山 Ⅲ 岩谷 薬師峠の南西 周山
２９ ６３３．１ 惣谷山、キズラシⅢ惣谷 雲ケ畑の北北東 周山
３０ ６３１．０ 釈迦岳 Ⅲ 善峰 善峰寺の南 西南
３１ ６０２．０ 千頭岳 Ⅱ 醍醐 醍醐、石山間 東南
３２ ５９３．４ 音羽山 Ⅲ 小山 山科の東 東南
３３ ５７２．８ 金毘羅山 Ⅲ 根王 大原の北 大原
３４ ５６８．１ 大暑山 Ⅲ 大原野 小塩山の北 西南
３５ ５６５．６ 白木谷山 Ⅲ 白木谷 持越峠の南 周山
３６ ５５２．４ 魚の子山 Ⅲ 小出石 途中の南 大原
３７ ５３７．６ 峰山 Ⅲ 峰山 高山寺の北 西北
３８ ５３２．４ 瓢箪崩山 Ⅲ 大谷 大原の南 大原
３９ ５２５．２ 戸谷峰 Ⅲ 戸谷 鞍馬の北東 大原
４０ ５１６．０ 沢山 Ⅱ 鷹峰 鷹峰の西 西北
４１ ４９５．５ 十三石山 Ⅲ 十三石山 雲ヶ畑の南 周山
４２ ４８５．２ 高塚山 Ⅲ 高塚 醍醐の東 東南
４３ ４８２．６ 上山田（点名）Ⅲ 上山田 嵐山の西 西北
４４ ４７９．８ 城山 Ⅲ 城山 鷹峰、杉坂間 西北
４５ ４７６．１ 本宮ノ峰 Ⅲ 堂ヶ背 醍醐の南 東南
４６ ４６６．０ 大文字山 Ⅲ 鹿ヶ谷 鹿ヶ谷の東 東北
４７ ４４２．５ 掛橋 （点名）Ⅲ 掛橋 修学院の東 東北
４８ ４３２．７ 箕ノ裏ヶ岳 Ⅲ 藤ヶ森 静原、岩倉間 大原
４９ ４２８．６ 高雄山 Ⅲ 高尾 神護寺の北西 西北
５０ ４１５．１ 沓掛山 Ⅲ 下山田 嵐山山陰道間 西南
かつて、愛宕山の三角点は地形図では、ごくわずか境界より北桑田郡京北町にずれていた。旧京都一中山岳部が１９１８年（大正７）に定めた山城三十山にもこの理由で入ってなかった。私は主峰が京都市なので五十山に含めることとしたが、国土地理院の三角点の戸籍である点の記を調べたところ、現在の位置は京都市右京区嵯峨清滝字北谷９番地の５になっており山城五十山の定義に合致することになっている。念のため京都地方法務局嵯峨出張所で土地所有者の登記簿を調べたが間違いはなかった。ただし公図には三角点の位置は記入されてなかった。その後、２００５年（平成１７）に京北町は京都市に合併され京都市右京区になったため、この問題は忘れ去られてしまった。
また１９９０年（平成２）に西京区の大原野にある金蔵寺の裏山、仏舎利塔前に四等三角点が設置された。標高は４１５．３メートルだ。これは山城五十山に含めていない。